▮ 強み
業界内での圧倒的なブランド力が住友電工の強み。その背景にはこれまでのモノづくりの歴史と実績がある。既に大手顧客を多数抱えており、且つ、そうした企業と良い信頼関係を築けている。特に日系自動車メーカー向けに各種製品で高シェアを維持しており、自動車向け製品が安定した収益源となっている。自動車が使用するハーネスの長さは高機能化、アプリケーションの多彩化により、どんどん増えている。自動車以外にも光ファイバーなど社会インフラなどで事業ポートフォリオを多角化しており、安定的に収益を稼げる強固な財務基盤がある為、研究開発への投資も多く、安定している。
▮ 弱み
自動車、情報通信、エレクトロニクス、電線・ケーブル・機材・エネルギー、産業素材の5つの事業部門から成っているものの、利益の7-8割は自動車部門が稼ぎ出しており、その他の事業部門の利益貢献は少ない。依存しているとも言える。自動車部門が他の事業部、本社の研究部門を下支えしている形になっているので、自動車部門が赤字を出すと、会社を成りたたせるのは難しい。また、BtoBであるため、競合が多く、原価管理されてしまうため、とびぬけて利益率の高い製品(看板製品)が生まれにくい。
ソフトウェアや、また車載エレクトロニクス製品の開発などにも力を入れているが、他のエレクトロニクス企業や電装品メーカーと比べても、ソフトウェアやハードウェアの技術力が高いとは言えない。
今後競合他社がグローバルに台頭してくることが予想されるが、スピード感や、コスト競争力が国際的に弱い製品が多い。急に業績が悪くなることはないと思うが、どの国でも必要な製品群が多いため、意識的にイノベーションを起こしていかないと、20年後30年後は新興国メーカーに負ける可能性はある。
▮ これからの事業展望
今後はさらに自動車事業に傾倒していく計画であり、幅広い事業領域を活用した他社にはない強みを発揮できる期待はあるものの、一方で価格競争の激化に対応できておらず、利益が圧迫されている。BtoBが主体で、官公庁、電力会社、通信会社、自動車会社など大手を相手に事業を展開しているため安定感はあるが、自動車用ワイヤハーネスの次に稼ぎ頭となる事業を今のうちに見つけられなければ、劇的な成長は望み薄いだろう。
また、自動車分野に頼りすぎている点や、欧米車向けには、なかなか拡販できていない部分は現状の課題で、このままでは、自動車販売台数が下がっていくにつれて業績は厳しくなっていくと予想される。今後はいかにして通信インフラなどの事業部間のシナジーを発揮し他社との差別化を図り、利益を確保していくかが課題となる。
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